建替え中なので新橋演舞場で歌舞伎。 | In Hamony Today サムイを夢見る日々

建替え中なので新橋演舞場で歌舞伎。

歌舞伎に行ってきました。
さよなら公演期間中、昨年10月以来の観劇なので、ちょうど1年ぶりの歌舞伎。
最後の最後の最終公演も観たかったのですが、考えてみれば一年前に観劇した後の冬に
ぎっくり腰をやっているので、長時間着席が必須の歌舞伎は難しかったかな・・・

今回も三津五郎さんの後援会に入っている母に依頼、2F席ながら花道が一望できる
上手側の一桁台の席を用意していただきました。
今は相撲も歌舞伎もオンラインでチケットが楽に予約できますが、こうやって人に頼んで
押さえていただく・・・というアナログ感(不便さ)が風情だな、とビギナーのワタクシめは
思う次第です。

新橋演舞場は、歌舞伎座のぱーーーーっと拓けた開放的な印象がないのは寂しいですが、
全体的に舞台が近いのは○です。

さて、今回の演目は・・・


一、近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)
  盛綱陣屋
 
  佐々木盛綱  仁左衛門
  信楽太郎  三津五郎
  和田兵衛秀盛  團十郎


鎌倉時代末期、源頼家と北條時政の争いで、兄弟、親子で敵味方でに分かれて闘うことになった
佐々木盛綱と高綱兄弟を巡る物語。
戦のために幼い子供が捕虜になったり、祖母に孫を殺すように頼んだり、
親のために自害したり、首実検があったりと、痛ましい状況のオンパレード。
不憫さに涙、涙・・・というお話のようです。

今回の演目の中での注目度は高かったので、結構期待していたのですが、
正直そこまで涙なくしては・・・という感じではなかったです。
色々理由はあるのですが、盛綱の心の動きを理解できなかったのが一番の原因?
彼の心の移ろいが芝居の肝のようなのですが、その辺りの繊細な演技を受け止めるには
自分が未熟なのかもしれません。
ちょっとハードル高かったな~という印象。

続いて


二、神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)
  どんつく


江戸っ子らしい親方のきびきびとした動きと、田舎者のどんつくのしぐさが人々の笑いを取り、
曲芸を見せる太神楽で盛り上がる、江戸の風俗をみせる舞踏。

三津五郎、巳之助父子によるどんつくは、明るく開放的で、ちょっと洒落っ気もあり、
理屈抜きに歌舞伎での舞踏の面白さ、楽しさを伝えてくれるものでした。
本日はこれで大満足。


三、艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)
  酒屋


これまた涙、涙の上方情趣豊かな世話物です。

前評判でなかなか厳しい評価も聞いていたのですが、うーん、これまた難しいのが最後に
やってきました。ストーリー自体は単純ですが、登場人物の心持に共感するのが極めて難しい。
芝居(歌舞伎)に共感は必須ではないですが、ひたすら自己犠牲をする姿に涙できないとツライ。
周囲を見渡すと、観客のおば様方が居眠りをする姿多数。
観客は正直です。

休憩込みで4時間20分のロングラン。
内容的には大満足ではなかったですが、だからこそ文化や時代の違い、解釈について
語るネタも多く、終演後は銀座のオーバカナルで連れと激論してしまいました。

また懲りずに演舞場に通いたいと思います。